個人開発者のDavid Bressler氏が、「やりたいこと」を自然言語で書くとExcelやスプレッドシートの数式を生成するツール「Formula Bot」を個人発で始め、後にデータ分析機能へ広げています。
ここで挙げる売上は本人が公開した自己申告(本人公表)です。 第三者監査ではないため、本文では「本人公表・公表時点」と明記して扱います。
「これは海外の数式ツールの話だから、うちには関係ない」と読み飛ばすにはもったいないです。
「Excelの数式が分からず、毎回ネットで検索している」という悩みは、事務職なら誰もが抱える、極めてありふれた治療薬型の課題だからです。 日本の事務代行・バックオフィス支援にも、設計思想は転用できます。
僕が注目したのは、これが派手な技術ではなく、「誰もが毎日ちょっと困っている小さな悩み」を拾って収益にした点です。
「数式が分からず毎回検索」という課題
事務作業にありがちな構造はこうです。
- やりたい集計はあるのに、数式の書き方が分からない
- 毎回ネットで検索して、似た例を探してコピペする
- 関数が増えると、もう自分では直せなくなる
- 結局「詳しい人」に頼んで属人化する
ここにあるのは「高度な分析」ではなく「日常の小さな詰まり」です。 一回あたりは数分でも、毎日・全社員で積もると相当な時間になります。 これは今すぐ解決したい、いわゆる治療薬型(予防ではなく今すぐ効く対処)の悩みに当たります。
Formula Botで数式生成をどう収益化したか
公開情報の範囲では、やりたいことを自然言語で入力すると、それに対応するExcel/スプレッドシートの数式を生成する仕組みです。
ポイントは「無料で広めてから有料化した」流れです。
- まず無料ツールとして公開し、一気に広まった
- 数式生成という分かりやすい価値で利用者を集めた
- そこから有料化・データ分析機能へ広げて収益化した
考察すると、こうです。
- 課題の本質は「ありふれた小さな悩みが解決されないまま放置されている」
- AIなら「その小さな悩みを安く大量に解ける」
- 無料で広めてから有料に転換する順番が効いている
結果はどうだったか(本人公表ベース)
本人が公開している範囲では以下です。 すべて自己申告のため、断定はしません。
- 無料ツールのバズから有料化し、月次経常収益を構築(本人公表・公表時点)
- 個人発でスタート(本人公表)
- サービスURLは稼働中(接続確認済み)
定性的にいえば、「誰もが少し困っている悩み」を「安く解ける道具」にすると、個人でも継続収益に育ちうる、という示唆です。
中小・個人事業で再現するなら
ここからが本題です。 日本の事務代行・バックオフィス支援が同じ思想を取り入れるなら、どう削るか。 全く同じツールを作る話ではなく、設計思想の転用です。
構成
| 項目 | Formula Bot像 | 国内事務代行/バックオフィス支援 |
|---|---|---|
| 対象 | Excel数式の生成 | 顧客の定型事務の詰まり解消 |
| 手法 | 自然言語→数式生成 | 既存AIツール+業務の型化 |
| 月額費用 | (本人非公表) | 推定 月数千〜数万円(ツール) |
| 初期費用 | (本人非公表) | 推定 0〜数万円(手順整備) |
| 体制 | 本人のみ | 既存スタッフが兼任で可 |
| 期間 | (継続運用) | 1〜2ヶ月で型を作る |
評価軸スコア
| 評価軸 | スコア |
|---|---|
| ROI(投資対効果) | ★★★★☆ |
| 再現性(中小/個人) | ★★★★☆ |
| 難易度(低いほど簡単) | ★★☆☆☆ |
(難易度=数字が小さいほど簡単)
スコアの根拠はこうです。
- ROIは高め。日常的な詰まりが減れば、作業時間に直接効く
- 再現性は高め。既存のAIツールで数式相談はすぐ試せる
- 難易度は低め。ツールは使えるが、業務の型化に少し手間が要る
前提条件・必要データ
- 自社や顧客で「毎回詰まる定型事務」のリスト
- AIに任せられる範囲(数式・集計・整形など)の見極め
- 出力をそのまま使わず、検算する運用ルール
失敗条件・適用しないケース
- 「とりあえずAI」で、解決する悩みが曖昧なまま導入する
- 生成された数式を検算せず使い、誤集計に気づかない
- 一度きりの相談で終わり、業務の型として残さない
「AIに聞けば事務が楽になる」のではありません。
毎回詰まる定型事務を洗い出す→AIに任せる範囲を決める→出力を検算するルールを作る→使える形を手順として残す、という流れで初めて、この事例の「小さな悩みの即収益化」像が国内の事務支援にも見えてきます。
特に「出力の検算」を省くと、速くなった分だけ誤りも増えます。
出典・参考
一次情報 Formula Bot 公式サイト https://formulabot.com/
(売上は全て本人公表の自己申告。公表時点で変動します)
市野
愛知県岡崎市でAI活用支援を手がける一人社長。 中小企業の現場でAIを実装してきた経験から、他社事例を「うちで再現するには」の視点で読み解いて発信中。


