ファインディ株式会社のエンジニア山岸さんが、Claude CodeとNotion MCPを組み合わせて求人票作成を最大1時間→約5分に短縮した、という事例です。
「自社プロダクトの会社だから当然でしょ」と思った方、記事の中身を読むと、散在する情報源を集めて整理するという、どの会社にもある業務の話です。 僕が注目したのは時間削減そのものではなく、「業務の属人化を、ツール側に寄せて型化した」という発想の部分です。
求人票作成まわりの課題
採用担当・現場マネージャーの求人票作成には、こんな見えにくいコストがあります。
- Notion・既存求人・テックブログ・社内ドキュメントなど、参照情報が散在している
- 書ける人・書けない人で品質と所要時間に大きな差が出る
- 経験差で20分〜1時間と作業時間がブレる
- 1件出すたびに、過去のフォーマットを思い出しながら手直しが発生する
求人票はリリース頻度が高くないので、削減対象として後回しにされがちです。 ただ「書ける人が限られる」せいで採用キックオフが詰まる、というのは、規模を問わず効く構造的なボトルネックです。
Claude CodeとNotion MCPをどう導入したか
元記事(Findy Tech Blog、2026-03-17)で紹介されている構成は以下です。
- 対象業務: Findy AI Career向け求人票のドラフト作成
- ツール: Claude Code + Notion MCP + カスタムスラッシュコマンド(
/create-job-posting) - データ: Notionの社内情報、既存求人、テックブログなどの公開情報
- 処理内容: 散在する情報をMCP経由で取得、求人票ドラフトを368行規模で生成
ポイントはNotion MCPを噛ませて、「人間がいちいちコピペで集める」工程をAI側に寄せたところです。 スラッシュコマンドにしてあるので、エンジニア以外のメンバーでも同じ操作で同水準の出力を得られる、という設計になっています。
1時間→5分の内訳と実態
元記事の報告では、以下の効果があったとされています。
- 作業時間: 20分〜1時間 → 約5分
- 経験差によるブレが解消され、誰でも同水準の品質に
- 出力の手直しがほぼ不要なレベルに到達
- エンジニア以外のメンバーが機能追加(プロンプト改良)まで担えるように
注意点として、これは「ドラフト作成までの時間」であり、最終的な人物要件のすり合わせや採用責任者のレビューは別工程です。 「Claude Codeが求人票を全自動で出してくれる」のではなく、「ドラフト作成の属人化を解消し、レビューに時間を集中できる」という整理が正しい読み方です。
中小企業で再現するなら
ここからが本題です。年商5億規模の会社で同じ思想を取り入れるならどう削るか。
構成
| 項目 | Findy事例 | 中小企業(年商5億・社員30名) |
|---|---|---|
| 対象 | エンジニア採用担当 | 採用担当1名+現場マネージャー数名 |
| ツール | Claude Code + Notion MCP | Claude Code Max Plan(月3,000円/人〜、2026年4月時点。要最新価格確認) + Notion(既存利用想定) |
| データ | 社内Notion・既存求人・テックブログ | 社内Notion or Googleドキュメント+過去求人 |
| 月額費用 | (非公開) | 推定 月3,000〜6,000円(担当1〜2名分、2026年4月時点) |
| 初期費用 | (社内ナレッジで内製) | 推定 20〜50万円(Notion情報整理+プロンプトテンプレ整備) |
| 体制 | エンジニア1名で内製 | 採用担当+外部支援月5時間 |
| 期間 | (記事内では不明) | 2〜4週間でPoC→運用開始 |
評価軸スコア
| 評価軸 | スコア |
|---|---|
| ROI(投資対効果) | ★★★★☆ |
| 再現性(中小企業) | ★★★★☆ |
| 難易度(低いほど簡単) | ★★★☆☆ |
(難易度=数字小さいほど簡単)
スコア根拠は以下です。
- ROIが高いのは、求人票が採用キックオフのボトルネックを兼ねているため
- 再現性が高いのは、Notion等のドキュメント管理が整っていれば業種を問わないため
- 難易度は中程度。MCP接続とプロンプト整備の学習コストがある
前提条件・必要データ
- 過去求人・職種定義・社内カルチャー資料がドキュメント化されている
- Notion等、MCPで接続できるドキュメント基盤を持っている
- 担当者が最低限のターミナル操作に抵抗がない
- 求人票の「これは載せる/これは載せない」という判断軸が言語化できている
失敗条件・適用しないケース
- 求人情報が担当者の頭の中にしかなく、明文化を嫌がる
- ドキュメントがWord・PDFで散在していてMCP連携できない
- 「AIが出した求人票をそのまま掲載」にしようとする(媒体審査・法務観点で事故の元)
- 採用件数が年数件で、整備コストが回収できない
「Claude Codeを入れれば求人票がゼロ工数になる」わけではありません。
情報源の整理→Notion等への集約→Claude Code+MCPでドラフト生成→人間が要件すり合わせ→媒体掲載、という5ステップを踏んで初めて、属人化解消と時短が両立します。
ツールだけ入れて情報整理を後回しにすると、AIが拾える材料が薄く、結局人間が書き足すことになるので注意です。
出典・参考
市野
愛知県岡崎市でAI活用支援を手がける一人社長。 中小企業の現場でAIを実装してきた経験から、他社事例を「うちで再現するには」の視点で読み解いて発信中。
