大塚商会が営業全員にAIアシスタントを配布し、提案書作成65%短縮・提案件数1.6倍を実現した事例です。 インテックコラム(2025-09-30)で紹介されています。
「大手商社の話だから関係ない」と読み飛ばすにはもったいないです。 中小商社・BtoB営業組織で「営業担当が顧客ごとに提案書をゼロから作成しており、案件数の増加に追いつかない」で悩んでいる構造そのものだからです。 大塚商会はこの問題を、「社内RAG+提案書自動生成AI」で解いています。
僕が注目したのは、「提案件数1.6倍」という売上直結の数字です。中小商社・BtoBにそのまま転用できます。
中小商社・BtoB営業の提案書課題
社員10〜100名の中小商社・BtoB営業組織にありがちな構造はこうです。
- 営業が顧客ごとに提案書をゼロから作成
- 過去案件の流用が属人化(個人のフォルダに散在)
- 結果、1本2〜5時間かかる
- 案件増加に人手が追いつかない
汎用ChatGPTには自社製品・過去案件・顧客データがありません。「社内RAG+営業AIアシスタント」が必要、というのが本事例の発想です。
大塚商会の取り組み
インテックコラムで紹介されている内容は以下です。
- 対象: 営業全員の提案書作成業務
- 基盤: 生成AI+社内RAG
- 用途:
- 過去案件参照: 類似案件の提案書を自動引用
- 製品情報統合: 製品DBから最新情報を反映
- 顧客データ反映: 顧客の過去取引・課題を反映
- 設計思想: 営業全員にAIアシスタント配布、個人のノウハウを組織で共有
効果実感の数字:
- 提案書1本あたりの作成時間が平均65%短縮
- 月の提案件数が1.6倍に増加
何が真似できるか
大塚商会は大手ですが、設計思想だけ抜き取るとこうなります。
- 過去案件・製品・顧客データをRAGに食わせる
- 提案書ドラフトはAIに任せる
- 営業はカスタマイズと顧客折衝だけ
- 効果は「提案書作成時間×提案件数×受注率」で測る
特に「営業全員配布」が秀逸です。中小商社ほど「一部のトップ営業だけが使う」となりがちですが、全員配布でナレッジが横展開されます。
中小企業で再現するなら
ここからが本題です。社員10〜100名の中小商社・BtoB営業組織で同じ思想を取り入れるならどう削るか。
構成
| 項目 | 大塚商会 | 中小商社(社員10〜100名) |
|---|---|---|
| 対象 | 全営業の提案書 | 主要商材の提案書 |
| ツール | 社内RAG | 営業AI(月3〜30万円目安、2026年5月時点。要最新価格確認) |
| 月額費用 | (記載なし) | 推定 月3〜30万円(SaaS+ライセンス) |
| 初期費用 | (記載なし) | 推定 50〜300万円(過去案件整備+RAG構築) |
| 体制 | 営業+情シス | 経営+営業+情シス(or 外部支援) |
| 期間 | (記載なし) | 3〜6ヶ月で運用化 |
評価軸スコア
| 評価軸 | スコア |
|---|---|
| ROI(投資対効果) | ★★★★★ |
| 再現性(中小企業) | ★★★★☆ |
| 難易度(低いほど簡単) | ★★★☆☆ |
(難易度=数字小さいほど簡単)
スコア根拠は以下です。
- ROIは最高。提案件数1.6倍は売上直結
- 再現性は高い。過去案件をデジタル化できれば再現可
- 難易度は中。RAG構築・データ整備が前提
前提条件・必要データ
- 過去案件の提案書・受注実績がデジタル化
- 製品情報が最新版で一元管理
- 顧客データがCRMに集約
- 営業がAIアシスタントを触ることに前向き
失敗条件・適用しないケース
- 過去案件が個人フォルダで散在(RAG化できない)
- AI出力をそのまま提出(製品情報誤り・顧客名違いリスク)
- 営業が慣れた手作業を変えない(現場の抵抗)
- 効果測定をせず「便利になった気がする」で終わる
「営業AIを契約すれば提案書が自動化する」のではありません。
過去案件デジタル化→製品DB整備→CRM統合→AI構築→検証→運用→月次測定、という流れが3〜6ヶ月で回って初めて、本事例が描く「65%短縮+1.6倍」像が中小商社にも見えてきます。
特に「過去案件デジタル化」を省くと、RAGに食わせるデータがなく精度が出ません。
出典・参考
市野
愛知県岡崎市でAI活用支援を手がける一人社長。 中小企業の現場でAIを実装してきた経験から、他社事例を「うちで再現するには」の視点で読み解いて発信中。
