あらすじ
「やめたほうがいい」とわかっているのに、やめられない――。
含み損の株を「買値まで戻ったら売る」と言い続けて5年。ほぼ使っていないサブスクを解約できないまま年1万4000円が消えていく。合わない仕事を「3年は続けなきゃ」で続けて、もう7年。気持ちの冷めた恋人と「ここまで付き合ったから」と別れられない。
頭ではわかっているのに、足が止まる。なぜなんでしょうか。
実は、あなただけではありません。
1985年にアメリカの心理学者が行った有名な実験では、61人中33人(54.1%)が、楽しくないとわかっている高い方を選びました。「高く払ったほうを使わないともったいない」という脳の働きは、頭のいい人にも等しく備わっているのです。これがコンコルド効果(サンクコスト効果)。行動経済学が40年前に解明した、人間の脳の根本的なクセです。
放置すれば、あなたの時間・お金・感情を一生かけて少しずつ奪い続ける。逆に言えば、正体を知って仕組みで抜けるだけ。
本書は、コンコルド効果を1冊で学び切るための入門書です。
「読む→気づく→使う→変わる」を一気通貫で設計しました。
第1章 コンコルド効果の基本(定義・一次
こんな人におすすめ
25〜50代/行動経済学・心理学を学びたい知識欲層 + やめられない自分を変えたい実践層
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はじめに なぜ人はやめられないのか?
僕が月5万円の塾を、半年続けてしまった話
先に、僕の失敗の話をさせてください。
数年前、ある資格を取ろうと思って月5万円のオンライン塾に入りました。最初の1ヶ月で、講義の内容が自分に合わないことに気づきました。講師との相性も悪い。動画を見ても頭に入ってこない。
普通なら、やめればいい話です。
でも、僕はやめませんでした。
なぜ?
その答えがこの本にあります。
2ヶ月目。「10万円も払ったし」。
3ヶ月目。「ここで辞めたら15万円がムダになる」。
半年後。合計30万円を使い切った時点で、ようやく解約ボタンを押しました。
資格は、取れていません。
振り返って一番おかしいのは、解約した日の気持ちなんです。「損した」ではなく、「もっと早く辞めればよかった」だけが残りました。最初から1ヶ月目の僕は「やめたほうがいい」と知っていた。でも、払った金額が大きくなるほど、やめられなくなっていきました。
この本を書いている僕は、そういう人間です。
あなたが今、思い浮かべた「それ」
質問をさせてください。
今、あなたが「やめたいけどやめられない」ものは、何ですか。
仕事、関係、ゲーム、契約、投資、習い事。なんでもいいです。1つだけ、思い浮かべてみてください。
……思い浮かびましたか。
その「やめられない感じ」の正体が、この本のテーマです。行動経済学では コンコルド効果(サンクコスト効果) と呼ばれています。

意志が弱いからじゃない。脳の仕組みです
結論から書きます。
やめられないのは、あなたの意志が弱いからではありません。人間の脳にもともと備わった、ごく一般的なクセです。
1985年に、アメリカの心理学者アーキスとブルーマーが行った有名な実験があります。61人に、こう質問しました。
「あなたは、100ドルのミシガン週末スキー旅行券と、50ドルのウィスコンシン週末スキー旅行券を両方買ってしまいました。日程が重なっていて、どちらか1枚しか使えません。なお、ウィスコンシンの方が楽しめると思っています。どちらに行きますか?」
合理的に考えれば、答えはウィスコンシンですよね。楽しいと思う方を選べばいい。
でも結果は、61人中33人(54.1%)が、楽しくないとわかっているミシガン(高いほう)を選びました。
理由は単純。100ドル払ったほうをムダにしたくないから。
つまり、「高く払ったほうを使わないともったいない」という脳の働きは、頭のいい人にも、そうでない人にも、等しく備わっているんです。僕にも、あなたにも、同じように。

この本で手に入るもの
この本は、「図解でわかる心理学用語」シリーズの1冊目です。コンコルド効果を1冊で網羅できる入門書として書きました。
読み終えた頃には、こんな景色が見えているはずです。
– 第1章 コンコルド効果の正確な定義と出典。3つの心理メカニズム(認知的不協和・自己正当化・ムダ回避)。
– 第2章 投資・仕事・恋愛・日常の12の具体例。「あっ、これ自分だ」が必ず1つは見つかります。
– 第3章 抜け出すための5つのフレーム。サンクコスト可視化、未来視点の再フレーム、第三者テスト、機会費用の数値化、撤退の儀式化。
– 第4章 7日間のワーク。Day1のセルフチェックから、Day7の再評価まで、手を動かして自分を変えます。
ひとつだけお願い
読んでいて、「これ、自分のことだ」と感じる場面が必ず出てきます。
そのとき、自分を責めないでください。責めても抜けられないんです。
僕自身、今でも油断すると同じ罠にハマります。「人間とはそういうもの」と知ったうえで、仕組みで抜ける。それが、この本のやり方です。
さあ、始めましょう。
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